50年以上前のパルデアはまだ王政が復活していない共和政の国であった。
当時は軍事独裁政権がこの国を支配しており、厳しい言論統制や文化規制をはじめとする圧政に苦しめられていた。
中でも竜族は最も激しく弾圧されていた側であり、それは本来の王族である竜族が再び権力を持たないようにするための、作り出された差別制度であった。
そんなパルデアを変えるべく武器を取った12匹の竜からなる革命グループは次第に国民からの支持を得て台頭していき、やがては軍事政権を打倒するまでに至る。
彼らが血によって築き上げた道により今日までのパルデアは極めて平穏で全ての命が祝福される豊かな国となった。
そして──12匹の竜たちは今もその当時の姿のまま辣腕を振るっている。
勝利の日の晩餐に盛られた毒の盃は、彼らの身を蝕む「黄金の呪い」となって彼らを不老不死という魂の牢獄に閉じ込めたのであった。
シヴィル
★ヌメルゴン♂
一人称「ぼく」 二人称「きみ、お前」
パルデアの現宰相。50年以上国を女王と二人三脚で統治しているが有能すぎて「独裁」の言葉を完封している。
元々平民の身分だが紆余曲折を経て革命戦士となり前政権を倒した者。その英雄譚から国民から非常に人気がある。
穏やかそうな態度物腰かつあまり威圧感のない喋り方をするが、極めて厳格で苛烈な男性。
自宅:アンビシャスとは同居している。彼女の平穏を誰よりも願っている。
トラジック
カミツオロチ♀
一人称「私」 二人称「あなた、きみ」
パルデアにある孤児院「りんご院」の職員。元はガラル出身の軍人。祖国の王子であるサクラメントが国外逃亡するにあたり従者としてついてきた。
現在りんご院に勤めているのも主君の命令。主君曰く「気まぐれで碌でもない性格」らしい。
自宅:サクラメントとは主従であり姉弟関係に近い親戚。
アンビシャス
★オンバーン♀
一人称「ウチ」 二人称「あんた」
パルデアの宰相であるシヴィルの私兵。仲間内で最も彼に信頼されており彼が革命戦士として活動し始めた一番最初からの友人かつ幼馴染であり、シヴィルが革命に目覚めたきっかけの女性。
明るく社交的で誰とでも仲良くなれる朗らか女性で、馴れ馴れしさも「彼女だと許してしまう」と思われがち。
ただかつてはその限りではなく、周囲の人に支えられて現在の性格になるに至った。
自宅:シヴィルとは同居している。
アンセム
シャリタツ♀
一人称「わたくし」 二人称「あなた、お前」
パルデアが誇る巨大海運会社の代表取締役社長。
幼い見た目をしているが言動は老獪さを持ち、会社を長年守り育ててきた誇りと強さを感じさせる。
50年以上前にあった軍事独裁政権の書記長の姪であり、書記長のことを「一族と会社の名に泥を塗った」と思い嫌って当時革命戦士だったシヴィルに情報を売っていた。
ハーシュ
ボーマンダ♂
一人称「俺」 二人称「お前、貴様」
軍事独裁政権において最も恐れられた軍人であり、書記長の忠実な臣下だった者。
元々竜葬を担う祭司一族の君主だったが故郷と家族を人質に取られ国に仕えていた。故郷解放以降、それを成し遂げたシヴィルに従っている。
50年間の幽閉生活を経て最近釈放されようやく表に出てきた。生粋の純血竜であり、時々他者と話が噛み合わない。